格差社会の負け組は本人に問題があるわけではない

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 貧困に陥った人々にその原因を問うと、おおよそ自分に問題があったと答えるものです。しかし困窮生活に陥る以前の自分が、後にそんな生活を余儀なくされることを予想していたかを問うと、多くの方が「まったく予想していなかった」と答えると言った傾向も見て取れます。


 さて、もともとまったく予想もしなかった負け組へと転がり落ちた原因とはなんだったのでしょうか。本当に当人に原因があったのでしょうか。


■格差社会を生み出す者の正体とは

 この答を知るためには、まず私たちの生活する社会構造について理解する必要があります。私たち日本人は、資本主義社会に生きています。資本主義社会とは、生産手段を所有する資本家が労働者を雇用して商品を生産することで利潤を追求する経済体制をいいます。このため、資本主義社会には資本家と労働者の立ち位置が存在します。よって使うものと使われるものの間には、どうしても格差が生まれることになります。


 一方、資本家と労働者の間に立って、格差是正に動く機関が存在します。これが政府機関です。政府は、多くの利益を生み出す資本家や法人から税を徴収し、そのお金で公共施設やセーフティネットを構築し、労働者や貧困層の生活をサポートすると言った再配分機能を担うわけです。ところが昨今、日本ではこの政府の機能に変化が生じ始めています。


 グローバル化によって巨額の富を得た資本家が、国や国家機関さえもコントロールする力を得始めているのです。これは、多額の資金を用いて政治家を動かしたり、諮問会議に人間を送ることにより、労働者よりも資本家に優位になるような政策や法律を施行することによって実現します。


 企業体が政府自体をもコントロールする構造が形成されてしまった場合、国民はそれにあらがうことができないわけです。たとえば、派遣法の緩和により、現在の日本では労働者のおよろ4割以上の労働者が非正規へと陥ることになりました。一方で正社員の座は年々減少したことから、一度非正規に陥ると、正社員への道はほぼ断たれることになります。非正規労働者の平均賃賃は、正社員の平均賃金のおおよそ6割程度なので、生活は一気に困窮することになります。


■格差社会実現によって利益を得る者とは

 さて、これによって利益を得たのは誰でしょうか。人を安く使うことができれば、当然のこと企業は高い利益を上げやすくなります。また、得た利益は租税回避などを経て内部留保としてプールされます。


 資本経済では、もともとお金が血液のように市場を循環しなければ繁栄はありません。ところが、多大な利益を得た企業が、それを再投資として市場に還元するのではなく、その多くをプールしてしまうので、結果的にデフレからの脱却は難しく、また、人不足に陥ったとしても、給与の上昇は望めないことになるのです。


 このような社会構造の中で生きる私たちが豊かに生活するのが困難であることは明らかです。つまり、生活が困窮するのは、当人よりもむしろ社会構造に問題があるといえるわけです。




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