派遣法の緩和と格差社会の拡大

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 格差社会は、自然な成り行きとして発生したと思われるでしょうか。不況が続いたことが原因として発生した社会なのでしょうか。多くの人は、自然に発生したものと思われているようです。しかし実は、格差社会は人為的に作り出されています。これを知るためには、格差社会が実現した際、誰が得をするのかを追っていけば自ずと答を導き出すことができるはずです。


■格差が少なかった高度経済成長期

 バブル崩壊以前、戦後の日本は、長期的な高度経済成長期を経験しています。戦後の復興において、誰もが何も持たなかった日本では、爆発的な需要が発生し、物を作りさえすれば飛ぶように売れ続けた時代がありました。


 資本家は、多大な投資の上で大規模な工場をつくるとともに、多くの労働者を雇用しました。右肩上がりの経済においては、規模を拡大すれば売上や利益を上げることができたので、企業はこぞって労働者を雇い入れました。他社に人材を奪われることを回避するために、終身雇用制度のなかで労働者を生涯にわたり使ったとしても、リスクがなかったわけです。


 この状況下では、労働者もある程度の恩恵を享受することができます。終身雇用されれば人生設計は立てやすくなります。また、年功序列で給与が上昇すれば、子供にしっかりとした教育を施すことも可能です。労働者の多くは生活が安定することから、一億総中流社会が実現できたわけです。


■バブル経済崩壊による企業収益の減少

 1990年代初頭のバブル経済崩壊以降、企業収益は大幅に陥ることになります。株価や土地の大幅下落から、企業の多くは多大な債務を余儀なくされることになります。また、これを境に徐々に消費が減少し始めることになります。さらにはコンピュータやインターネットの普及により、消費者意識にも大きな変化が生じ始めます。


 企業はこれまでのような大量生産では容易に利益を確保できなくなり、業態によっては大幅な世代交代を強いられるようになります。また、その後20年以上の長期に渡る不況に日本は沈むことになるのです。


■不透明性の高い市場で見出した企業の活路

 2000年になっても日本の企業の収益性は向上の切っ掛けを得ることさえできませんでした。しかしこの頃、グローバル化という名のもとで企業にとって有益な規制緩和が施行されます。これまで一部に制限されていた派遣社員の職種が大幅に緩和されたのです。


 非正規労働者を雇い入れること可能となると、企業は必要に応じた時にのみ労働力を得ることができます。市場が活性化した時や繁忙期に非正規労働者を増やす一方で、不景気や閑散期にはその多くを削減することで人件費を自由に調整することが可能となります。


 企業はこのように効果的に非正規労働者を用いる一方で、正社員の枠を最小限に抑えることで柔軟性の高い経営を実現する状況に至るわけです。


■企業の収益性の一方で拡大を始めた格差

 派遣法が緩和されたことで企業の収益性は向上することになった一方で、労働者の就労環境は急速に悪化することになりました。派遣労働者の雇用は比較的ハードルが低い一方で、正社員のイスは著しく制限されることになったことから、望む望まずに関わらず派遣労働者へと移行する労働者が急増することになります。一度正社員の座を退いてしまうと、おおよそ転職の道はないことから、選択の余地なく派遣労働者へと移行せざるを得なくなったわけです。


 なお、非正規労働者の場合、いつまで働くことができるかの保証がありません。また、昇給も見込めず、さらにはボーナスや退職金もありません。さらには、平均年収も250万円程度と低賃金であり、おおよそ満足のいく就労環境を得ることができません。現在では労働人口の40%以上が非正規労働者として働いています。つまり不安定な条件の下で生きているわけです。


 年収が低くしかも不安定な生活を余儀なくされるわけですから、当然のこと生活は困窮します。非正規労働者として働く人が増えるにつれて、収入格差が拡大することになったわけです。




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